Ufotableとの対比という意味で言うと、TYPE-MOON作品専用スタジオみたいになっていると言ったが、TYPE-MOON作品でも奈須きのこ脚本の本家筋(空の境界、Fate/Stay Night UBW、Fate/Stay Night HF)やそれと同一時空の作品(Fate/Zero)はUfotable制作なのだが、武内崇イラストではない「Fate/Apocrypha」「Fate/EXTRA Last Encore」はそれぞれA-1 Pictures、シャフトが制作しており、それぞれUfotableとは対照的な作風になっている。
A-1 Picturesは大所帯で多産なので特徴を捉えて語るのが難しいのだが、「Fate/Apocrypha」においては榎戸駿と坂詰嵩仁のユニット「まゆとかげ」がアクションディレクターとして参加しており、榎戸駿は複数話で自ら絵コンテを担当している。「まゆとかげ」は所謂自主制作アニメの出自であり、前述のりょーちもの系統のアクション作画だといえば、「ケレン味」側だとお分かりいただけるだろうか。ちなみに榎戸駿は後の「Fate/ Strange Fake」に監督として起用されている。
一方シャフトはアニメオタク界隈で首の可動域どうなってんのというレベルでキャラクターが後ろ斜め上を見上げているのを俯瞰する構図を「シャフ度」と呼びミーム化しているほど、特徴的な演出で有名で、「絶望先生」「〈物語〉シリーズ」、そしてなんと言っても「まどマギ(魔法少女まどか☆マギカ)」あたりが新房昭之監督の特徴がよく出ている作品だと思う。
アニメを多少なりと見る人なら「あーアレか!」てなってもらえるくらい特徴的なのだが、アニメまったく見ない人はググってもらったほうが早い。あえて言葉で説明するなら、グラフィックデザイン的な処理の幾何学的な背景やモーションタイポグラフィーの手法などを多用した独特としか言いようがない演出という感じ。
加えて、絶望先生やまどマギでもやっていたのだが、「Fate/EXTRA Last Encore」では劇団イヌカレーを起用しており、これによってもチェコアニメを思わせる独特な鬱ポップなテイストを確立している。劇団イヌカレーもググってもらったほうがわかりやすい。
つまり、TYPE-MOON作品アニメ化、本家筋はUfotableによる「美麗」「ぬるぬる動く」「ウェルメイド」潮流、スピンアウト系は「ケレン味」や「個性派」潮流と見事に分けられている。
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