ただ、実は「デジタル活用」の裏で、「ケレン味」を維持、もしくは復権させるムーブもあって、おそらく自主制作アニメーション作家界隈(00年代初頭に新海誠の『ほしのこえ』が話題になって以来、ソフトウェアの充実や廉価化で個人でアニメを作る人が増えた)やそれに近いウェブアニメ(イヴの時間京騒戯画など)、モーショングラフィックス界隈の人たち、またはそれらの人たちから刺激を受けた若いアニメーターと思われる人達を中心に、極端にデフォルメしたり、演出が前面に出た作風みたいなのがちょいちょい見られるようになり、それが2000年代の終盤らへん。おそらく、動画ソフトウェアを使えば「ぬるぬる動かす」ことは誰にでもできる(コマ撮りのアニメではなくモーショングラフィックスなので)前提で、じゃあどこで勝負するのとなったら「演出」だから、ってことだと思う。

自分が最初にこういう流れがあるなと思ったのは赤根和樹監督の「鉄腕バーディー DECODE」。赤根監督自体は比較的オーソドックスながら細部で叙情的な演出のキレが光る作風で、「ケレン味」ムーブメントとは関係なく推してる監督なんだけど、この作品で赤根監督が若手から抜擢した「りょーちも」がFlashアニメを持ち込み、「コマ撮りじゃない」アニメが地上波で大々的に流れた(観測範囲内では)初のケースではないかと思う(「ノエイン」でも片鱗はあったが)。特に二期においてはりょーちものケレン味アクションが炸裂しており、同時期の他の地上波アニメには見られないテイストになっていた。とはいえ、これは赤根監督がわりと作家性を評価されてるから若手にも異端みたいなのを登用できるだけかなと思っていたら、キッズ向けアニメだと思っていた「ナルト疾風伝」でもエッジの効いた演出や作画が増えてきて、これが一つの潮流なのだと認識した。

その後「りょーちも」は「夜桜四重奏 〜ハナノウタ〜」以降の夜桜四重奏シリーズの監督を務めており、ここでもFlash風のケレン味アニメーションは多用されている。(ちなみに「イヴの時間」の吉浦康裕も参加している)

りょーちも(だけではないが一部の若手アニメーターたち)は2010年代中盤Flashに代わる「芝居をさせられる」アニメーションソフトウェアを模索していて、Live2Dはもともとその文脈(とあとノベルゲームへの活用)で注目されていたソフトウェアだったのだが、今やLive2D=Vtuber(のアバターを制作するソフト)として認識が定着してしまった。

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