2009年アニメレビュー 【余は満足じゃ編】

日曜日, 02. 14. 2010  –  Category: Review

■グッジョブ★★★★☆
大正野球娘。
 まずは大正時代の風俗が丁寧に再現されているところが好感度高いのですが、さらにその「女が野球なんて」という抑圧された時代背景を重苦しく感じさせることなく、かといって最近多い「女子パワー!」みたいな感じでもなく抑制された雰囲気で懸命に前進していく新ジャンルスポ根。
 小説や漫画版はまた趣向が少し異なるらしいですが、アニメでスポ根臭を強くしたのはpsi的には大正解です。
もう1クールあってもよかったかも。

宙のまにまに
 端的に説明すれば今時珍しいくらい爽やかかつ王道ラブコメなのですが、ラブコメ興味ないpsi的に何が良いと問われれば、圧倒的に星空の描写。
 天文に興味のない人間にも「星っていいなぁ」と思わせる画面と、それを語るキャラクターの説得力。
 心理描写ももちろん良いのですが、それらが良い結果、星空の良さの説得力に繋がっていっているという……
青い花
 志村貴子の絵柄をちゃんとアニメに落とし込めるのかだけが心配だったのですが、きちんとアニメ的に見やすい線に整理されながらも雰囲気を損なわない素晴らしいアートワークになっていて安心しました。
 情緒あふれる鎌倉近辺の情景描写も色遣いや構図がきちんと考えられていて、良かった。
 ここのところ百合ネタのアニメが続いたせいで、サブカル雑誌では百合特集とか組まれる始末でしたが、青い花のアニメに限っては百合とか関係なく評価して欲しい。
 「百合」という現象は、大概は思春期の行き場のない思いの末の、自己欺瞞と錯覚の産物に過ぎませんが、「青い花」ではそれにとどまらず、それらを整理するだけの精神を持ってなお、同性を性的な好意の対象としてとらえるホンモノの「百合」まで区別しながらきっちり描いているところが評価されるべきところなのだけど、アニメに関してはそこまで突っ込むまでもなく、画面作りなどだけでも十分に評価されるべき。
東京マグニチュード8.0
 半端ない再現率とリアリティを誇る画面に期待して観はじめたのですが、主人公の未来のあまりのDQNぶりに耐えられず、悠貴キュンに死亡フラグが立ちまくりなのが気になりつつも一旦リタイア。
 数話後にもう一度観はじめたのですが、あんなに死亡フラグ全開だった悠貴キュンがまだご健在で、でも未来のDQNぶりが変化している……なにかがおかしい……ってやっぱりそういうオチかーーー!!(号泣)
 psiのショタコンは置いておくとしても、極限状態において、ハリウッド的な極限心理(ヒロイズムに目覚める的な)ではなく、矮小でリアルな心情の動きを丁寧に追い、さらにそれに説得力を持たせるに十分な情景描写のリアルさがしっかりと下支えしている。
 これは個人的な好みとかを超越して評価せざるを得ない品質だと思う。
鉄腕バーディー DECODE:02
 第一期は中杉さんとの恋愛がメインだったのですが、肝心の中杉さんがイマイチpsiの好みではなく、つとむに共感できなかったのですが、第二期はタイムトラベルネタに、特殊部隊っぽい人たち、そしてメインキャストにヒートガイジェイ勢結集(バーディー=キョウコ=千葉妙子、ナタル=ダイスケ=松風雅也、ナタルの父=ジェイ=菅生隆之)と、psiのツボを押さえまくった展開に赤根監督の半端ない才能を三度噛みしめることに。
獣の奏者 エリン
 序盤は丁寧な作りに好感は覚えるものの、目新しさもストーリーの意外性も全くなく、さらに、放送開始前の特番では王獣の表現に命かけてる的な話で、それはさぞかし画期的かつ登場しただけで心打たれるような、凄い王獣が出てくるに違いないと期待していた割には全然画期的でも美しくもなかったので、本気で見るのやめようかと思ったのですが、中盤以降、真王にエリンが王獣をコントロールできることがバレて政治劇的な様相を見せ始めてから、エリンも子供のころの「動物かわいい」だけのウザい考え方から卒業し、多角的な視点から何が正しいのか、何をすべきなのかを真剣に考えるようになり、俄然面白くなりました。
 終盤には最初「画期的でも美しくもない」と思ってがっかりだった王獣も、愛着がわいてきて美しいような気がしてきたし、初期にいわくありげに登場したきりだったイアルのネタも回収され、最終的には感動の幕切れとなりましたがイアルとエリンの関係はどうなったんだこんにゃろっていうかトムラ先輩はどうすんだ。かわいそすぎる。
続 夏目友人帳
 相変わらずの色彩設計の美しさと、雰囲気あるアニメーション。下手に人気取りに走ったりしないところがよいですなぁ。
 今期はしょっぱなから松風大先生を起用するというナイスチョイス……は、おいといて、一話ではなく2,3話で完結する話が多かったり、前の話からのつながりがある話とかがあって、厚みと広がりが出てきた感じがあります。
 と、同時に、単純にほのぼのしていただけでは済まされず、夏目にいよいよ人と妖どちらをとるのかという選択がせまられたりするわけですが、「どっちも大切だ!」というあたりまえかつど真ん中な結論にてのびやかに締めくくられるラストは第一期の最終回に引き続いてさわやかな余韻を残してくれました。
 深刻に悩んだりするのは「蟲師」に任せればよいと思うよ。
鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST
 途中からオリジナル鬱展開に超力突入した水島精二版ハガレンアニメは一旦忘れて仕切り直しとばかりに最初っからもう一度作り直した原作忠実版ハガレンアニメ。
 序盤かなり駆け足でコミックにキャッチアップしようとしていたのと、水島版とネタがかぶっているせいで比較せざるを得ない(水島版はオリジナルストーリーの賛否はともあれ、アニメーションとしての表現力は群を抜いていた)点などがあり、やっつけ仕事(とはいってもその辺の作品と比べればダンチのクオリティなのですが)感がぬぐえなかったのですが、新章突入してからは原作のクオリティの高さをきちんとアニメに投影することに成功しています。
 最初は違和感のあったキャスト変更も今は耳に慣れ、あとは主題歌のセレクションが毎回イマイチなことくらいでしょうか……
■ありがとーう!★★★★★
涼宮ハルヒの憂鬱(2009年版)
 ソースケさんが、伏線の張り方がすごいとかおっしゃっていたのでただの萌え萌え美少女ライトノベルではないらしいということは知っていましたが、のいぢ先生のイラストがバーンと表紙になっているスニーカー文庫を買うのは勇気がいるので、ちょっと試しにどんな内容かリサーチしてみよう、とYouTubeで最初に見たのが、変な男が「朝比奈みくるの冒険」を実写で再現しているキモい映像だったので「え……意味わからん」と思ってハルヒ挑戦計画は頓挫。あれが劇中劇だというのは2009年版アニメを中盤までみたところでようやく気付きました。
 さて、小説版は読んでいないのですが、地の文もセリフの別もなく、延々とキョンのモノローグで進行していくとのこと。
だとすれば、アニメ版における杉田智和の起用はまさに大正解というべきであろう! 中の人のお母さんも大満足である!(CV:杉田智和
 キョン=杉田智和の地を這う9mm弾トーク(テンション低すぎて薬莢は転がらない)により、劇中のテンション高すぎたりイタすぎたり、リアルじゃない=漫画チック過ぎるあれこれがすべて、容認されてしまう。キョンが容認しているのではなく、読者(視聴者)がドン引いたり、突っ込む前にキョンが突っ込んでくれるので、読者(視聴者)は「まいっかー」となってしまう。
 話の根幹はSF調。演出はライトながらも作者自身は結構SFに造形が深い人っぽい。それが細かいところに現れていて、安っぽさを回避しているところもOK。キョンのセリフの言い回しが軽妙なのも魅力か。銀河英雄伝説でポプランとアッテンボローのやり取りとかが好きな人には良いかも。
 あと秀逸なのは古泉=小野大輔のキモさ。古泉のキモさをこうも引き出すとは……声優ってやっぱりプロですね、凄いですね。
 …… とまあ、キャラクター小説的側面ばかり評価されてますが、アニメーションとしても非常に詩情にあふれた演出をここぞというときに押さえてくる。なので、「エンドレスエイト」に関しては賛否両論ありましたがpsi的には同じネタをあの手この手で表現を凝らしてくる様子が楽しかったです。声優陣も毎回同じセリフを微妙に演技を変えており、飽きなかったです。
 最後に言わせてくれ、キャラクターが主題歌に合わせて踊るOPムービーが流行ったきっかけはハルヒではない、キングゲイナーだ!!
銀魂
 どんだけ杉田智和好きなんだ、psi。いや、別に銀さんが杉田だから選んだんじゃありませんよ。もちろん、銀さんのキャラは杉田智和だからこそだとは思いますけど。
 作者の空知とは同い年なので世代ネタとかいろいろカブりすぎて、それだけですでに面白いのですが、アニメスタッフが半端ない。
 原作の下ネタ・パロディネタ、その他放送コードやら権利関係すべてにドロップキックを喰らわせる(©ミスチル)ネタをどこまで修正カットせずにできるのか、かなり調整に注力していることが推測される。
 アニメがすぐに原作に追いついてしまう問題に関しても、無理な引き伸ばしや見るに堪えないオリジナルストーリーを展開する他のジャンプアニメとは異なり、激しいメタ言及ネタや実写化(!)、コミックスのおまけページ再現など、アニメスタッフのセンスが光りまくる。っていうか、アニメオリジナルの部分の方が面白いかも……
 まあ、なんというか、アニメスタッフ功労賞ですなぁ。アートブリッ子の感動大作に大人な世界の障害がたくさんあっても、そのために作品の内容を変えたりしたくない! 調整がんばる!というのはわかるのですが、このアニメの場合、単純に下ネタがアレとか、パロディ元のアニメの音楽そのまま使いたいとかそういうレベルだからね!? そこにオトナ力を惜しげもなく注ぎ込む姿勢に感動いたしますっ!
 あ、あと、毎回主題歌のセンスがいい。銀魂の「こじゃれぶらないけど、チャート買いはしないよ」というターゲット層にぴったりだ。

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