よいお年を

土曜日, 12. 31. 2005  –  Category: 日常

大変長らくご無沙汰しております。psiです。
かくも長期にわたり更新しなかった言い訳を延々と書き綴るのも人気ラノベ作家のあとがきか田中宗一郎@SNOOZERの扉(?)ページみたいで気分がいいのですが、実際にはそんな言い訳しなきゃならんほど人気のあるサイトでもないのでやめておきます。
しかし、だからこそ訪問してくれる方は大事にしなければならないわけで、レスを放置しまくったのには深く反省しております。申し訳ありません。
例年「本年の総括」みたいなエントリをポストしていたのですが、今年はそれもままならなそうです。
まあ、そのうち「2005年BEST」的なものは書くと思いますが、そのまえにロンドンレポがまだ途中。
明日以降はそのへんを優先的に何とかしたいと思っております。
そう、「来年からは」ではなくあくまで「明日からは」という感覚。
村上隆が「スーパーフラット」を唱えたのは随分昔の話になるけれど、それと関係あるのか、私の個人的な問題なのかよく分からないが(多分両方)いろいろなものの境界がどんどん曖昧になっていく気がする。
数年前の自分なら今年一番印象に残った出来事として英国旅行を挙げても良さそうなものなんだけど、実をいうとあんまり印象深い出来事でもなかった。ikoのライブは素晴らしかったけど、旅行自体は日常の延長、せいぜい余暇に求めるちょっとした非日常の域を出ていない。まあ、期間が短かったってのもあるかもしれないんだけど。でも多分どこの国行ってももう都市部はそうなんだろうなと思う。
同様に今年と来年の境界もかなりどうでもいい感覚。仕事上うるう秒がらみでNTPのLIへの対応状況とか気になる程度で(あ、ちなみにMTは問題ないらしいですよ)。渋谷慶一郎を渋谷陽一と間違えたり、まつもと泉と竹本泉も混同しがち。エントロピーは増大するってのは本当です。
だからこそ、エネルギーを使ってエントロピーを減少させなければ、熱量死の世界になってしまうわけです。
少しでも「新年」という境界を創出すべく、とりあえず今日田作りとなます作った。包丁半年ぶりくらいに使ったよ。にも拘らずできばえが素晴らしかったのでちょっと自分の料理センスが恐ろしくなりました(料理つっても切ってあえるだけですが…)。大掃除も頑張った。「まだだっ、まだ終わらんよっ!」とか叫びながら。マジおわらねー。
熱量死に対するもうひとつの対策としては、自分の根(ルーツ)の確認というのがあると思います。
色々な差異がエントロピーの増大によって吹き飛んでしまった最後に自分の中に残るカッコたるモノ、それが何なのか確認する作業。
自己表現を生業にしている人は特に敏感だと思うのですが(でもウチのダンナはこの間「地元のパース描いてるとほっとする自分がいるのに気づいた」とか言ってて今更なに言ってんだ何年デザインやってんだと思いましたが)、モノには人が作っている以上表現の意図とは関係なくにじみ出てしまうものがあります。それは個性の最後のよりどころとしてのポジティブな意味でも、どこまで行っても逃れられないものとしてのネガティブな意味としても、この部分で勝負できないクリエーターは結局長生きしないものです。
じゃあパンピーはその部分要らないかつったらそんなことはなくて、やっぱり人間として「どうしようもなくにじみ出てしまうもの」を自覚することが、言葉は悪いですが自分の限界を知ることでもあり、同時に自分の人間としての魅力、ひいては自分の存在の立ち位置を知ることでもあるわけです。
GODのサマ様改めソースケさんは私とタメのためか結構日記を拝見していると共感することが多い。中でも何度か日記で触れられている下記についてはうわーと思った。

やはり自分の行動原理は「過去にあった空気」を
再現する為に行動しているという事を発見した。
知らず知らずですが、自然に昔好きだったものを集めてその当時の空気を
再現する事でリラックスしている様子。最近気が付いた。
良き未来とは、過去幸せだった頃を模造する事であると思った。

私だって別に意味もなく一人ソファに腰掛けて”live at astoria”見ながら「Radiohead…何もかもが懐かしい…」とか呟いているわけではなくて、「過去にあった空気」を確認しているのだと思う。ノスタルジーと言ってしまえばそれまでなのかもしれないんだけど、そこには微妙な差異があって、うーん、だから上記のソースケさんの言葉をpsi的に言い直すならば、
良き未来とは、過去幸せであったことを認めることの上に成り立つ
という感じでしょうか。
「あのころは楽しかったなぁ」とか思うわけですが、実際その時それほど自分が「今最高に幸せだわー」と思っていたかというとそうではなくて、せいぜい「多分将来自分は今の時代を思い出して『あの頃は楽しかった』と思うであろう」とぼんやり自覚していた程度。実際は今思えばなんでそんなに苦しかったのか不思議だったり微笑ましかったり思い出せすらしないようなあれやこれやで苦しくて仕方がなかった。
その苦しさってのは細かい部分は置いておくとしても大元は結局「あるべき自分」とか「ありたい自分」へ現在の自分が届かないことの苦しさに還元できるわけで。
その「あるべき」とか「ありたい」は時代時代で変化してはいるんだけど、右へ行けば左へ行けない自分に苦しみ、左を目指せば右が見えなくなる事に苦しみ、でも結局右に行こうが左に行こうが登ろうが下ろうがこの山から出てないじゃん、的な部分が、「幸せだった過去」と「幸せであるとは自覚しづらい現在」を結びつけることに気づいたんだと思います。だから金髪トムを眺めながら自分がどの山を登ろうとしている(いた)のか探しているっていうか。
その山の正体が何なのかさえ分かれば、もうその部分でどうこうしようと思ったって無駄なわけですよ。
そこがすなわち「どうしようもなくにじみ出てしまう部分」であり。
その山をさまよっていた過去を「幸せであった」と認めることが出来れば、たとえ現在「あるべき」「ありたい」自分と現状にギャップがあったとして、それは不幸ではないと思うことが出来ると思います。ギャップを埋めるために歩きたければ歩けばいい。それは自分の山を知る事に繋がる。つまりは山の地図がどんどん埋まっていく作業。辛いとか苦しいとか四の五言わずに歩け! いくら迷ったところで山の位置が変わるわけじゃなくて、その中をグルグル回っているだけだし、出ようとしたところでどうせ出られないんだから。
マジで歩きたくないなら別に歩かなくたって死にはしない。山はどうせそこにあって、自分のもので、頂上にたどり着かないといけないとか言うものでもない。いろんなところから、色んな景色を見られないってだけの話。大したことじゃない。
まあ、偉そうに色々書きましたが、今年一年仕事や何やら忙しくはあったけど、どうせ山からは出られないってことを自覚しながらだったので、精神的にはわりと健康に過ごせた気がします。
末筆ではありますが、in/fluxを訪れてくださった全ての方々、リアルでpsiがお世話になった全ての方々に深く御礼を申し上げます。来年もよろしくお願いします。

3 Responses to “よいお年を”

  1. れんぎょう Says:

    あけましておめでとうございます。
    私の場合はダラダラしすぎて境目がなくなっています。
    新年も気付いたらきていました。
    黒豆はまだ水につかってます・・・。
    重曹がお掃除用のしかなかったんです。
    くぎはあきらめました。さびた釘なんて早々転がってません。
    現場に行かねば。
    いつも達成されないながら目標を立てることにしています。それだけが唯一、新年として区切りをつけるものと思っています。
    今年もよろしくおねがいします~!

  2. あゆか Says:

    あけましておめでとうございます!
    こちらに来させていただくようになってもうじき1年になります。1年なんてあっと言う間ですね。
    「ありたい自分」・・・この年になってようやく見えてきたような気がします。それも迷いに迷って後悔しながら歩いてきた過去があるから。なんですが、我ながらまわり道しすぎ(苦笑)。今年(今日)からは少しでもそれに近づけるように努力していきたいと思います。あ、まだ今年の目標立ててない!
    今年もよろしくお願いします!

  3. psi Says:

    >れんぎょうさん
    黒豆ご自分で煮るんですか!? すごいー!
    私は絶対上手くできない自信があったので真っ先に惣菜をゲットしました(笑)
    目標ねぇ、確かに立てる事に意味があるのかもしれませんね~
    今年もよろしくお願いします~
    >あゆかさん
    もうそんなになりますか!
    不定期更新レス放置なこんなサイトにずっと来てくださって本当にありがとうございます!
    >ようやく見えてきたような気がします
    それはすばらしい。psiはまだ見えてないです。でも、これまで見えてると思ってたのは錯覚に過ぎないと気づいただけ、前進はしたのかな?
    あゆかさんの「ありたい自分」近づけるといいですね。歩き始めるのに遅すぎるなんてことはないので、とにかく足を踏み出すことが重要なのかもしれません。影ながら応援してますよ。
    では、今年もよろしくお願いします!

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