※註:このエントリはエウレカセブンについてのものですが、音楽について語ってます。アニメとしての感想は次のエントリをご覧下さい。
「そう、記憶というものは決してそれ単体では存在せず、それをとりまく環境に支配されているということだ」
世の中、「この曲聴くと当時付き合ってた彼女を思い出すんだよね」みたいな方はたくさん居られると思いますが、音楽好きの人間にはそんな記憶が満載です。
長い間コンスタントに聞き続けてる曲はだんだんひとつの記憶との結びつきは薄くなっていきますが、最大瞬間風速で駆け抜けていった曲たちは鮮烈に記憶の中の映像と一緒に蘇ります。


私の場合、ぱっと思いつくのは
■wide open space / mansun
馴れ合う友達もいない塾からの帰り、夜の渋谷の寒空、黒いダウンコートに身を包んで狭い路地が果てしなく広大な荒野に感じる瞬間
■three out change!(アルバム収録曲全部) / supercar
大学1年終わりの春休み、朝早くに自動車の教習所へ向かう南武線沿いの果てしなく長い一本道。空には黄色くて硬くてやわらかい朝の光。
■high and dry / radiohead
新宿小田急へ続く歩道橋の下、コンクリートの歩道の模様を眺めて歩く。
こんな人ごみ自分には関係ないんだと、侵入されているのは物理的な問題だけなのだと自分に言い聞かせながらイヤホンを手で覆って必死で歩いた塾までの道。
↑なんかおセンチな記憶ばかり挙げましたが、もっと普通の風景もあります。
こういう記憶を持つ人には冒頭の台詞は一瞬で納得できるものであり、「セカンド・サマー・オブ・ラブ」とか「LFO」とかいちいち音楽系のキーワードをちりばめているところからして、こういう層にアピールしたいのかなぁ? とか思うわけですが(なにしろ交響詩篇だし)、その割にはアニメとして非常にまっとうなつくりになっているのが良く分かりません。
そんなくらいだったらSPEEDGRAPHERとかの方が全然ウケそうですが。
BECK(ハンセンじゃないよ)は音楽好きの生態がものすごくリアルに描かれてて、というよりそのリアルさだけで売ってる感じなので完全に内輪ウケでしたが、エウレカはどうなんでしょう。なんかほんとにキーワードだけ拾った感じ。
…とか言ってる間に『…なんて月曜日だ』
「第一話 ブルーマンデイ」
….NEW ORDER !?
マジ節操ないっスね〜
..で、主人公のレントン君登場。話を追う間もなく
ディーディッツーツクツーツクツーツクディーディッツーツクツーツクツーツク….
….SUPERCAR !? しかも微妙に古ッ!しかも解散してるし…
昨日本屋でうっかりSNOOZERを立ち読みしてしまい、「SUPERCARラストインタビュー」とか読んでしまったのでなんだかなーですよ。
SUPERCARのデビュー当時からジュンジとナカコーの仲についてつっつきまくっていたSNOOZERですが、とにかくジュンジの音楽に対するナイーブさとか、そういうのが引き出せたら嬉しくて仕方ないみたいな雑誌だったな。ナカコーはそれに対する当て馬つーか。当時のシーンとしてはグランジも完全収束して、radioheadもああいう回答(OK computer)を出して、ローゼズはひどいことになっていて、OASISの兄弟げんかにも飽きたし、もうなんかとりあえずファットボーイスリムで踊っとけみたいな。
バンド内不和とか、哲学的な歌詞とかもうおなか一杯だからみたいな、そんな状況だったように思います。
私自身、SUPERCAR1stのナイーブさは好きだけど、それは音楽で表明すればいいことであって、ナカコーがどうとか、そういう場外乱闘はどうでもいい…っていうよりむしろウザいと思って、それをしつこく追っかけてる(どころかけしかけてる)SNOOZERもウザいと思って買わなくなった気がします。
でも、ラストインタビューでジュンジは「HIGHVISION」が一番良く出来たと思うといっていて、「ナカコーもHIGHVISIONが一番良く出来たと思ってると思う」といってるわけですよ。
まあ、実際問題完成度の点から言ってアレ以上はなかったと思いますけど。
でも、にもかかわらず、ナカコーとジュンジの溝は修復不可能なわけですよ。そんな悲しいアルバムなわけですよ。HIGHVISIONは。
そのアルバムの収録曲を使うってどうなのエウレカセブン。ていうかBONES。

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2 Responses to “交響詩篇エウレカセブン 音楽編 第一話 「ブルーマンデイ」”

  1. カプセル1号 Says:

    TB頂いたカプセル1号です。
    STORYWRITERがかかって大騒ぎしていた私達と対照的に,深いところを突いていますね。
    スパカに対しては,皆思うところがあると思うけれど,ただ今回のエウレカ挿入歌に関していうと,あまり”そういうワケ”を噛み砕いた選曲じゃない気がしています(個人的意見)。
    私もどうしてあそこでこの曲??と思ったけれど,単純に好きとか嫌いとか,そういうところから攻めてそうな感じが。。
    どうなんですかね?!

  2. psi Says:

    カプセル1号さん、こんばんは。
    TB、多重送信したっぽい気配だったのですが大丈夫でしたでしょうか…もしSPAM状態になってたらスミマセン。
    まあたぶん、製作者で好きな人がいたんでしょうね。
    あのアルバムの曲は映画「ピンポン」にも使われてたし、別に深く考えてはないと思います。
    私も好きな曲なのでアニメ中で流れてたのを聴いて嫌な気はしませんでしたけど、時期的に微妙(新曲でもないし、解散の件もあるし)なこの曲を敢えて使う意味って…? とちょっと一人ごちてみたのでした。

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