井上雄彦

月曜日, 02. 7. 2005  –  Category: Review

SWITCHという雑誌は私の一番好きな雑誌なのですが、近頃めっきり買ってませんでした。世の中に興味がなかったんですね。
今号のSWITCHは井上雄彦特集で、それだけだったら買ったかわかりませんが、以前行われた三浦の廃校でのイベントの様子がかなり細かく載っていて、全部ではありませんが黒板に描かれたという漫画も載っていました。だもんで買いました。


読んだ感想としてはやっぱり井上雄彦つーのはリアルってもんが分かってる作家だなーと。伊達に自分で『リアル』とかいう漫画描いてないです。
「山王戦から10日後という設定だから、『花道のケガが気づいたら治ってました』みたいのは絶対やっちゃいけないと思いました」っていう言葉もちろんそうなんだけど、なんていうのかな、いや、もう、コマの中の表現全てだね。
あとやっぱ絵がうまいなーと。小学生の頃読んでたときは、そこらの少女漫画作家のほうがよっぽど上手いと思ってたし実際当時の絵はバランス悪かった。さらにそのまえの『カメレオンジェイル』とかひどいことになってる。あれ今再版ででてるけど、私だったら恥ずかしくて出せませんね。やっぱ今激ウマだからこその余裕なんでしょうね。素晴らしいですね。
最後に、漫画じゃなくて、インタビューの言葉で凄く「やられた!」と思ったのは「バガボンドは汚い時代だから、小次郎も武蔵もろくにフロも入ってなくて汚いし、臭いし、だから汚く描いてる」っていうところ。(ちなみに質問は「バガボンドとスラムダンクは明らかに描き方を変えてますよね?」みたいな話)
バガボンドはスラムダンクよりも線が荒いし、その割りに書き込みがすごい量だし、私はそれはひとつには武士の力強さを出そうとした、ってのと、あとひとつにはいわゆる漫画的描き方を避けた、すなわち「いわゆる漫画」キングであるジャンプ漫画であるスラムダンク「でないもの」を描きたいという、そういう意図かなと思ってました。
前者だったら安直とまでは言わないものの、まあ、ありがちだし、後者だったら、ひとつのスタイルに固定されずに色々やってみるのは作家として評価されるべきだけど、あの描き込まれた線一本一本が、整理された線で描かれる「いわゆる漫画」への、ひいては自分が生み出した「いわゆる漫画」モンスターの「スラムダンク」から離れなきゃ、離れなきゃ、という強迫観念からきてるんじゃないかと、そう思えてしまってその点ではバガボンドはイタい漫画だなと、そんな風に思ってました。
ところがこんな愚かな女の邪推なんて及びもしませんよ。ですよね? 井上先生?(キユ)
「汚い時代だから汚く描いた」って…..すげー。名言だ…..ッ。
ちなみにオフィシャルサイトで公開されている”BUZZER BEATER”が書籍化されてましたよ….っと思ったら書籍化は前からされてたみたいですね。新装版になって全二巻。読もうと思えばいつでも読めるけど、家に置いときたい感じのカワイイ装丁でした。
あと、黒板漫画もオフィシャルサイトで通販できますよ。
昔「リンク張るときはご相談ください」みたいのが書いてあった気がするのでリンク張りませんがググれば一瞬で見つかりますよと。

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