【感想】小野主上新作 「丕緒の鳥」
日曜日, 03. 2. 2008 – Category: Review
yom yom (ヨムヨム) 2008年 03月号 [雑誌]
新潮社 2008-02-27 |
しゅ、主上……
これを待っていたんですよ!
長らく王不在で妖魔がバッコバッコ(跋扈跋扈)だった我が国ですが、白雉一声でございます。
予青~赤楽にかけての慶を舞台に丕緒という職人の視点から語られる慶の暗黒時代のお話。
丕緒は射儀という儀式で用いる陶鵲を作る職人だが、数々の傑作をともに作りだした射鳥氏(射儀のディレクターみたいな官吏)祖賢を大逆の疑いで殺され、冬匠の蕭蘭も予王の女官追放令の際に連行されてしまってからは陶鵲を作る意欲を完全に失っていた。そんな折、新たな王が登極し、郊祀で催される大射を企画せよとの命が丕緒に下された……。
うわー、慶国の話とは聞いていたけど、こうきたか。
予青時代とは、主上も憎いところを突きよる。どっちかつーと同人誌ぽい舞台セレクションだが、まあ、久しぶりだしそのくらいヲタサービスがあってもよろしかろう。
話のトーンは「華胥の幽夢」に似てますかねぇ。
荒廃した国土や辛い現実を直視せよ、射儀は吉兆を知らせる鵲を射落す儀式で、目出度いものではない、権の使い方を誤るとこうなるということを王に気づいてもらわなければならないと鬱々としている丕緒の語りだけだと地味過ぎるんですが、陶鵲の美しさの描写が華やかで全体として暗すぎず、明るすぎずバランスのとれた文章になっています。
最後にはファンサービスとしか思えない男前陽子(+多分景麒)もちょっぴり登場し、ファン的には大満足ではないでしょうか。
個人的には蕭蘭が好きです。
この人のおかげでこの話が説教臭くなるのを軽やかに回避している。すばらすぃ。
凡百の理屈の通じないフィーリング女とは違って俺の価値観をちゃんと理解してくれるぜ、と思ってバリキャリの女と結婚したのに、どうも最近なにかが違う、と思い始めている殿方にお読みいただきたい感じがします。
でもね。驍宗様はいずこに?とか柳がどうなってるのか?とか忘れたわけじゃないんですよ。つーかむしろ超絶気になってんですよ。そこんとこどうなの、主上?
Tags: book
3月 11th, 2008 at 11:01 PM
[小説] 丕緒(ひしょ)の鳥 〜十二国記
まりねこさんが教えてくれた、yomyom vol.6掲載の十二国記新作を読みました。十二国記はもう何年も新作が途絶えていたから、とーっても嬉しい
場所は…